最近ひょんなことからビビデバという曲を知った。
この曲はホロライブの星街すいせい氏によるもので、クールで強い女性の生き方について歌っている。私はクールでも強くも女性でもないので刺さらない曲だと思ったが普通にかっこよかったのでMVを見出す程度にはハマってしまった。
MVも主役の少女(おそらく星街すいせい氏)の生きざまが現れており、非常に良かったためここに書き留める。
ちなみに私は星街すいせい氏について詳しくないので、そこだけは先に断りを入れておく。
このMVのあらすじ
このMVは童話「シンデレラ」の撮影という形で展開されていく。
次のカットは王子様とシンデレラの舞踏会でのダンスシーン。
スタッフは背景や衣装を準備していく。
監督はシンデレラ役の少女にガラスの靴を履いた状態でステップを踏むようにリクエスト。しかしかかとの高い靴でそんなことはできないと抗議する。
結局監督に押し切られやむなく踊る少女。
案の定ダンスは失敗し、監督は激怒してしまう。
それに対して次第に怒りをあらわにする少女。二人の喧嘩が勃発する。
周りによって喧嘩は止められたものの、少女の怒りはまだ治まらない。
ドレスを着替えて屋上へと駆け出す少女。
一人で屋上へ上がった少女は自由に踊りだし、このMVは終了する。
印象に残ったキャラクター
さて、このカッコよいMVだが、個人的に目に留まったキャラクターが一人いる。
それは誰かというと
彼、王子である。
あらすじを見ていただくとわかると思うが、彼は今回のストーリーにおいてまじで何の役にも立っていない。ただ監督と少女の喧嘩を見ていただけである。
そう、見ていただけなのである。王子というシンデレラの物語上は欠かせない役柄だというのに巻き込まれてすらいないのだ。
彼の活躍を改めて確認していこう。
・王子の活躍
ダンスシーンを前にスタッフに衣装をお願いする王子。
少女と華麗に踊る王子。キマッている。
ダンスに失敗する少女を心配そうに見る王子。
切れる監督にビビる王子。
彼の出番はここで終わりである。
確認してみてもわかるように彼はこのMVのストーリー上正真正銘のモブである。
見せ場といえば少女と一緒に踊ることくらいか。
よくある王子のイメージだと、倒れた少女を優しく助け起こしたり、喧嘩があれば仲裁したりとしていそうなものだがそのようなものは一切ない。
そんな情けない彼だが、実は彼は何も悪いことをしていない。
スタッフに当たることもなければ場を荒らすこともない。
ノーミスで王子を演じていたので演者としては十分合格点である。
むしろ演者として問題なのは少女のほうだ。
・少女の行動
もちろん彼女が悪いわけではない。
監督の指示には無理があったし、それに対する拒否の意見もしっかりと出している。
それが却下されると渋々ながら要望に応えようと全力を出している様子がうかがえる。
個人的には監督の無茶ぶりに待ったをかけられなかった振付師が悪いと思う(MVに出てきてないけど)。
MVの後のこと
しかしそのあとの行動は悪手である。
少女はその場から逃げるという行動をとった。
このMV内では少女が逃げたことでハッピーエンドになったように終わらせている。
しかし実際は何も解決していない。
監督とのいざこざの解決は先送りである。なんならフォローしようとしている人を置いて逃げ出したので悪化している。
この状況が続けば監督と喧嘩がまた始まるか、最悪役を下されるかもしれない。
少女や監督は気にしないかもしれないが、その場合、周りに多大な迷惑がかかることは想像に難くない。
やはりなんとか話し合い、映画を完成させるのが1番良い落とし所だろう。
しかしいきなり現場を飛び出し踊るようなはねっ帰りの強い少女や強引なところがある監督にそれができるとは思えない。
2人には周りの人間のフォローが必要になるだろう。
ではその周りの人間とは誰か?
私はそれが王子であって欲しいと思う。
がんばれ王子
この怒涛の展開の中、彼は確かに何もできなかった。しかし彼には転んだ少女を心配する優しさが確かに存在する。
騒動の中心の一人であるである少女が去った後の現場ならきっと落ち着いて行動することができるだろう。
それに彼は1人ではない。監督に頭を下げてくれる少女のマネージャー(明言されてないが少女の代わりに怒る監督に頭を下げていたので多分そう)もいる。
現場スタッフの雰囲気も決して悪くなかった。少なくともダンスシーンでみんなノリノリで踊り出す程度には仲が良いのが窺える。
監督もこのシーンにはニッコリしていて、少女が嫌いとか、話が通じないタイプではなさそうだ。
王子には仲間と頑張って少女が戻れる空気を作って欲しい。
今回のMVは皆の羨望を浴びて華麗にダンスを踊る少女が主人公であることは間違い無いだろう。
しかしその裏で彼女を支えるべく我々の目に映らないMVの外で暗躍する存在。それこそが姫に必要な存在ではないだろうか。
ぜひ彼にはいざこざを解決した後に屋上に姫を迎えに行って欲しい。
その時にこそ、彼は本当の王子になると思う。